AWS Shield: DDoS攻撃からアプリケーションを保護するマネージドサービス
AWS Shieldは、分散型サービス拒否(DDoS)攻撃からアプリケーションを守るためのフルマネージドセキュリティサービスです。リアルタイムのモニタリングと自動緩和を提供し、アプリケーションの可用性を確保します。
概要
AWS Shieldは、AWSインフラストラクチャ上でホストされるアプリケーションをDDoS攻撃から保護するために設計されたサービスです。無料の標準プラン(AWS Shield Standard)と、追加の保護機能を提供するAdvancedプラン(AWS Shield Advanced)を提供しています。Shieldは、攻撃の検出と緩和を自動化し、アプリケーションの可用性とセキュリティを向上させます。
主な特徴
- DDoS攻撃の自動緩和
攻撃のリアルタイム検出と自動緩和を行い、サービス中断を防ぎます。 - 常時オンの保護
特別な設定なしでDDoS保護が有効化されるため、迅速に保護を開始できます。 - カスタムセキュリティ保護(Shield Advanced)
カスタムルールや高度な設定で、アプリケーション固有の脅威に対応します。 - 経済的保護(Shield Advanced)
DDoS攻撃による過剰なデータ転送コストをクレジットで補償します。 - セキュリティ専門家のサポート(Shield Advanced)
AWS DDoS Response Team(DRT)による24/7のサポートが利用可能です。 - レポートと分析
攻撃の詳細レポートやトラフィック分析を提供し、今後のセキュリティ強化に役立てます。
構成要素
- AWS Shield Standard
すべてのAWSリソースに無料で提供されるDDoS保護サービス。一般的なインフラストラクチャ攻撃に対応します。 - AWS Shield Advanced
有料の高度なDDoS保護サービスで、拡張された緩和機能や経済的保護を提供します。 - DDoS Response Team(DRT)
専門のセキュリティチームが、高度な攻撃に対応するためのサポートを提供します(Advancedで利用可能)。 - セキュリティイベントダッシュボード
CloudWatchやAWS Management Consoleで攻撃やトラフィックパターンをリアルタイムで監視します。 - グローバルネットワークの利用
AWSのグローバルインフラストラクチャを活用し、大規模なDDoS攻撃に対応します。
活用シナリオ
- ウェブアプリケーションの保護
ECサイトやポータルサイトを、DDoS攻撃から守り、サービスの可用性を確保します。 - API保護
Amazon API Gatewayを通じて提供されるAPIを攻撃から保護します。 - メディアストリーミングの保護
大量のリクエストを処理するストリーミングサービスを中断から守ります。 - 企業データの保護
Amazon S3やCloudFrontなどを利用したエンタープライズデータサービスを攻撃から保護します。 - リアルタイムゲームの防御
ゲームサーバーのような低レイテンシ環境を維持し、攻撃の影響を最小限に抑えます。
設定手順
- Shield Standardの確認
AWS Shield Standardは自動的に有効になっているため、特別な設定は不要です。 - Shield Advancedの有効化
AWS Management ConsoleでShield Advancedを有効化し、保護対象のリソースを選択します(例: CloudFront、ALB)。 - モニタリングの設定
CloudWatchメトリクスを設定して、トラフィックの異常を監視します。 - カスタムルールの作成
AWS WAFと連携して、特定の攻撃パターンに対するルールを定義します。 - 経済的保護の利用
攻撃による過剰なデータ転送コストが発生した場合、AWSに申請して補償を受けます。 - DRTへのアクセス
Shield Advancedを有効化した後、必要に応じてDDoS Response Teamにサポートを依頼します。 - 攻撃レポートの確認
セキュリティダッシュボードで攻撃の詳細を確認し、将来のセキュリティ対策を計画します。
ソリューションアーキテクトとしてのポイント
- Shield Standardの有効活用
デフォルトで有効化されているShield Standardを活用し、一般的なDDoS攻撃に対応します。 - Shield Advancedの適用対象の選定
高リスクまたはビジネスクリティカルなリソースに対して、Shield Advancedを適用して保護を強化します。 - WAFとの統合
AWS WAFと組み合わせることで、アプリケーション層の脅威にも対応可能な多層防御を実現します。 - モニタリングの徹底
CloudWatchやセキュリティダッシュボードを活用して、攻撃の早期発見と迅速な対応を可能にします。 - 経済的リスクの緩和
Shield Advancedの経済的保護機能を活用し、DDoS攻撃によるコスト負担を最小限に抑えます。 - 継続的なセキュリティレビュー
定期的にセキュリティ設定を確認し、新たな脅威に対応できるようルールやポリシーを更新します。
AWS Shieldは、DDoS攻撃に対する包括的な防御を提供し、アプリケーションの可用性を維持するための不可欠なツールです。適切な設定と運用で、信頼性の高いクラウド環境を実現しましょう。
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