AWS Cost and Usage Report: AWSのコストと使用状況を詳細に可視化するツール
AWS Cost and Usage Report(AWS CUR)は、AWSのリソース使用状況とコストに関する最も詳細なデータを提供するツールです。これにより、コスト分析や予算管理を効果的に行うことができます。
概要
AWS Cost and Usage Reportは、AWSアカウントで発生したすべてのリソース使用量と関連コストを詳細に記録したレポートを生成するサービスです。このレポートはAmazon S3に保存され、AthenaやRedshift、QuickSightを使用して分析できます。組織内でのコスト配分や運用効率化のための詳細なインサイトを提供します。
主な特徴
- 詳細なコストデータの提供
AWSリソースごとの使用状況やコストを詳細に記録。 - カスタマイズ可能なレポート設定
レポートの形式や対象期間、詳細レベルを自由にカスタマイズ可能。 - 連携可能な分析ツール
Amazon Athena、Redshift、QuickSightを利用してレポートをクエリベースで分析。 - S3に自動保存
レポートは指定したS3バケットに定期的に保存。 - タグベースのコスト分配
タグを利用してプロジェクトや部門ごとのコストを追跡可能。 - 履歴の保存と分析
長期間のコストデータを保存し、トレンド分析や予算計画に利用。
構成要素
- レポート定義
レポートの内容や形式を定義(例: CSV形式、ZIP圧縮)。 - データフィールド
使用量、コスト、サービス、タグなど、詳細なフィールドが含まれる。 - S3バケット
レポートが保存される指定のS3バケット。 - データ統合
AthenaやRedshift Spectrumを利用してデータをクエリベースで処理。 - 時間間隔
データは日次または時間ごとに収集可能。 - AWS Organizationsの統合
マスターアカウントで組織全体のコストデータを一括管理。
活用シナリオ
- コスト分析と最適化
使用状況を詳細に分析し、コスト最適化の対象を特定。 - 部門ごとのコスト配分
タグを使用してプロジェクトや部門ごとの費用を追跡。 - 予算計画の作成
過去の使用データを基に、今後の予算を計画。 - 不正利用の検出
異常な使用量や予期しないコストの発生を迅速に検出。 - 経営層へのレポート作成
QuickSightを使って経営層向けのダッシュボードを作成。 - コストのトレンド分析
長期的なデータを分析し、季節性や利用パターンを把握。
設定手順
- S3バケットの準備
AWS Management ConsoleでS3バケットを作成し、CURレポートの保存先として指定。 - Cost and Usage Reportの有効化
AWS Billing and Cost ManagementコンソールでCost and Usage Reportを有効に。 - レポートのカスタマイズ
- レポート名を設定。
- 時間間隔(日次または時間単位)を選択。
- フォーマット(CSV、ZIP圧縮など)を指定。
- データの保存先を設定
作成したS3バケットを指定し、適切なIAMポリシーを設定。 - AthenaまたはRedshiftでクエリ設定
S3に保存されたレポートをAthenaまたはRedshiftにインポートし、クエリで分析。 - QuickSightの設定(オプション)
データを可視化するためにQuickSightを統合。 - 通知設定(オプション)
Amazon SNSを使用してレポート生成や異常検出時の通知を設定。
ソリューションアーキテクトとしてのポイント
- コストの透明性の確保
タグやアカウントレベルで詳細なレポートを生成し、透明性を高める。 - 分析ツールとの連携
AthenaやQuickSightを活用して、直感的で操作しやすいダッシュボードを作成。 - 異常検知の自動化
AWS BudgetsやCloudWatchアラームと組み合わせて、予期しないコストの増加を早期に検出。 - セキュリティの強化
レポートが保存されるS3バケットに暗号化やアクセス制御を適用。 - 組織全体での最適化
AWS Organizationsを活用して、複数アカウントのコストを一括管理し、重複を削減。 - 履歴データの活用
長期データを分析して、将来のコストパターンを予測。 - レポートの自動化
レポート生成をスケジュールし、定期的な分析を効率化。
AWS Cost and Usage Reportは、AWSリソースのコストと使用状況を詳細に把握し、コスト管理の効率化をサポートする強力なツールです。適切な設定と分析により、ビジネスの収益性を向上させましょう。
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