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ネットワークとコンテンツ配信 – Elastic Load Balancing (ELB)

Elastic Load Balancing (ELB): AWSクラウドにおけるスケーラブルで高可用性なトラフィック管理

Elastic Load Balancing (ELB) は、AWSのフルマネージドなロードバランシングサービスで、アプリケーションやネットワークトラフィックを効率的に分散し、高可用性とパフォーマンスを提供します。アプリケーションのスケーラビリティと耐障害性を実現するための重要なコンポーネントです。


概要

ELBは、AWSリソースへのトラフィックを動的に分散するロードバランサーサービスで、アプリケーションやサービスの負荷を複数のバックエンドインスタンスに分散します。これにより、高可用性とパフォーマンスの向上を図り、障害時には自動でトラフィックを健全なターゲットにリダイレクトします。


主な特徴

  1. スケーラビリティ
    ELBは、トラフィック量に応じて自動的にスケールアウトおよびスケールインするため、トラフィック増加時も高パフォーマンスを維持します。
  2. 高可用性と耐障害性
    ELBは複数のアベイラビリティゾーン(AZ)にわたってトラフィックを分散し、単一障害点を排除します。
  3. HTTPS/TLSサポート
    セキュアなトラフィックを処理するためのHTTPS/TLSサポートを提供し、SSL/TLS証明書を管理します。
  4. 多様なロードバランサータイプ
    アプリケーション層、ネットワーク層、ゲートウェイ層に対応したロードバランサーを提供します。

構成要素

  1. Application Load Balancer (ALB)
    アプリケーション層(レイヤー7)で動作し、HTTP/HTTPSトラフィックの高度なルーティングを実現します。パスベースやホストベースのルーティング、WebSocketサポートも提供します。
  2. Network Load Balancer (NLB)
    ネットワーク層(レイヤー4)で動作し、高スループット、低レイテンシのトラフィック処理を行います。IPアドレスベースのルーティングに適しています。
  3. リスナー
    ELBがトラフィックを受信するために使用する設定です。リスナーにはポート番号とプロトコル(HTTP、HTTPS、TCPなど)が設定されます。
  4. ターゲットグループ
    ロードバランサーがトラフィックを分散する対象のグループです。インスタンス、IPアドレス、Lambda関数をターゲットとして指定可能です。
  5. ヘルスチェック
    各ターゲットの健全性を監視する機能です。不健全なターゲットにはトラフィックを送信せず、健全なターゲットへのみ分散します。
  6. スティッキーセッション
    特定のユーザーのトラフィックを同じターゲットにルーティングする機能で、セッション情報を保持する必要があるアプリケーションに有効です。

活用シナリオ

  1. 高可用性のウェブアプリケーション
    ELBを使用して、複数のEC2インスタンスにトラフィックを分散し、アプリケーションの耐障害性を向上させます。
  2. セキュアなウェブアプリケーション
    HTTPSをサポートするリスナーを使用して、セキュアなトラフィック処理を実現します。SSL/TLS証明書を管理して、セキュリティ要件に対応可能です。
  3. ハイブリッドクラウドアーキテクチャ
    NLBを使用して、AWSとオンプレミス環境間でトラフィックをルーティングし、ハイブリッドクラウド環境を構築します。
  4. マイクロサービスアーキテクチャ
    ALBを利用して、マイクロサービス間でパスベースやホストベースのトラフィックルーティングを実現します。

設定手順

  1. ロードバランサーの作成
    AWSマネジメントコンソールでロードバランサー(ALBまたはNLB)を作成します。ロードバランサーのタイプ、リスナーのポートとプロトコルを設定します。
  2. ターゲットグループの作成
    バックエンドリソースを登録するためのターゲットグループを作成します。インスタンス、IPアドレス、またはLambda関数をターゲットとして指定します。
  3. ヘルスチェックの設定
    ターゲットグループにヘルスチェックの設定を追加します。プロトコル、パス、タイムアウトなどを指定して、ターゲットの健全性を監視します。
  4. リスナーとルーティングの設定
    リスナーを設定し、受信したトラフィックをターゲットグループにルーティングするルールを構築します。
  5. スティッキーセッションの有効化(必要に応じて)
    セッション情報を保持する必要がある場合は、スティッキーセッションを有効にします。
  6. テストとモニタリング
    ロードバランサーの動作をテストし、CloudWatchを使用してトラフィックやエラーをモニタリングします。

ソリューションアーキテクトとしてのポイント

  • ロードバランサータイプの選択
    アプリケーション層(ALB)またはネットワーク層(NLB)の要件に基づいて最適なロードバランサーを選択します。ALBはHTTP/HTTPSアプリケーション、NLBは低レイテンシが必要な用途に適しています。
  • セキュリティの強化
    HTTPSリスナーを使用し、SSL/TLS証明書を適切に管理することで、トラフィックを暗号化しセキュリティを向上させます。IAMポリシーを利用してアクセスを制御します。
  • スケーラビリティと高可用性の設計
    複数のAZにわたるターゲットグループを構成し、単一障害点を排除します。また、オートスケーリングと組み合わせることで、需要に応じた自動スケーリングを実現します。
  • モニタリングとトラブルシューティング
    CloudWatchメトリクスやログを利用して、ELBのパフォーマンスとエラーを監視し、迅速なトラブルシューティングを行います。

Elastic Load Balancing (ELB) は、AWS環境における高可用性とスケーラビリティを支える重要なサービスです。適切なロードバランサーの選択と構成により、アプリケーションのパフォーマンスと信頼性を最大化しましょう。

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