Elastic Load Balancing (ELB): AWSクラウドにおけるスケーラブルで高可用性なトラフィック管理
Elastic Load Balancing (ELB) は、AWSのフルマネージドなロードバランシングサービスで、アプリケーションやネットワークトラフィックを効率的に分散し、高可用性とパフォーマンスを提供します。アプリケーションのスケーラビリティと耐障害性を実現するための重要なコンポーネントです。
概要
ELBは、AWSリソースへのトラフィックを動的に分散するロードバランサーサービスで、アプリケーションやサービスの負荷を複数のバックエンドインスタンスに分散します。これにより、高可用性とパフォーマンスの向上を図り、障害時には自動でトラフィックを健全なターゲットにリダイレクトします。
主な特徴
- スケーラビリティ
ELBは、トラフィック量に応じて自動的にスケールアウトおよびスケールインするため、トラフィック増加時も高パフォーマンスを維持します。 - 高可用性と耐障害性
ELBは複数のアベイラビリティゾーン(AZ)にわたってトラフィックを分散し、単一障害点を排除します。 - HTTPS/TLSサポート
セキュアなトラフィックを処理するためのHTTPS/TLSサポートを提供し、SSL/TLS証明書を管理します。 - 多様なロードバランサータイプ
アプリケーション層、ネットワーク層、ゲートウェイ層に対応したロードバランサーを提供します。
構成要素
- Application Load Balancer (ALB)
アプリケーション層(レイヤー7)で動作し、HTTP/HTTPSトラフィックの高度なルーティングを実現します。パスベースやホストベースのルーティング、WebSocketサポートも提供します。 - Network Load Balancer (NLB)
ネットワーク層(レイヤー4)で動作し、高スループット、低レイテンシのトラフィック処理を行います。IPアドレスベースのルーティングに適しています。 - リスナー
ELBがトラフィックを受信するために使用する設定です。リスナーにはポート番号とプロトコル(HTTP、HTTPS、TCPなど)が設定されます。 - ターゲットグループ
ロードバランサーがトラフィックを分散する対象のグループです。インスタンス、IPアドレス、Lambda関数をターゲットとして指定可能です。 - ヘルスチェック
各ターゲットの健全性を監視する機能です。不健全なターゲットにはトラフィックを送信せず、健全なターゲットへのみ分散します。 - スティッキーセッション
特定のユーザーのトラフィックを同じターゲットにルーティングする機能で、セッション情報を保持する必要があるアプリケーションに有効です。
活用シナリオ
- 高可用性のウェブアプリケーション
ELBを使用して、複数のEC2インスタンスにトラフィックを分散し、アプリケーションの耐障害性を向上させます。 - セキュアなウェブアプリケーション
HTTPSをサポートするリスナーを使用して、セキュアなトラフィック処理を実現します。SSL/TLS証明書を管理して、セキュリティ要件に対応可能です。 - ハイブリッドクラウドアーキテクチャ
NLBを使用して、AWSとオンプレミス環境間でトラフィックをルーティングし、ハイブリッドクラウド環境を構築します。 - マイクロサービスアーキテクチャ
ALBを利用して、マイクロサービス間でパスベースやホストベースのトラフィックルーティングを実現します。
設定手順
- ロードバランサーの作成
AWSマネジメントコンソールでロードバランサー(ALBまたはNLB)を作成します。ロードバランサーのタイプ、リスナーのポートとプロトコルを設定します。 - ターゲットグループの作成
バックエンドリソースを登録するためのターゲットグループを作成します。インスタンス、IPアドレス、またはLambda関数をターゲットとして指定します。 - ヘルスチェックの設定
ターゲットグループにヘルスチェックの設定を追加します。プロトコル、パス、タイムアウトなどを指定して、ターゲットの健全性を監視します。 - リスナーとルーティングの設定
リスナーを設定し、受信したトラフィックをターゲットグループにルーティングするルールを構築します。 - スティッキーセッションの有効化(必要に応じて)
セッション情報を保持する必要がある場合は、スティッキーセッションを有効にします。 - テストとモニタリング
ロードバランサーの動作をテストし、CloudWatchを使用してトラフィックやエラーをモニタリングします。
ソリューションアーキテクトとしてのポイント
- ロードバランサータイプの選択
アプリケーション層(ALB)またはネットワーク層(NLB)の要件に基づいて最適なロードバランサーを選択します。ALBはHTTP/HTTPSアプリケーション、NLBは低レイテンシが必要な用途に適しています。 - セキュリティの強化
HTTPSリスナーを使用し、SSL/TLS証明書を適切に管理することで、トラフィックを暗号化しセキュリティを向上させます。IAMポリシーを利用してアクセスを制御します。 - スケーラビリティと高可用性の設計
複数のAZにわたるターゲットグループを構成し、単一障害点を排除します。また、オートスケーリングと組み合わせることで、需要に応じた自動スケーリングを実現します。 - モニタリングとトラブルシューティング
CloudWatchメトリクスやログを利用して、ELBのパフォーマンスとエラーを監視し、迅速なトラブルシューティングを行います。
Elastic Load Balancing (ELB) は、AWS環境における高可用性とスケーラビリティを支える重要なサービスです。適切なロードバランサーの選択と構成により、アプリケーションのパフォーマンスと信頼性を最大化しましょう。
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