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【インシデント対応編】:【第15回】初動対応から報告書作成まで:インシデントレスポンスの流れ

目次

1. インシデントレスポンスとは?

インシデントレスポンス(IR)は、サイバー攻撃やセキュリティインシデント発生時に 検知 → 封じ込め → 根本原因の特定 → 復旧 → 報告 までを体系的に行うプロセスです。
目的は「被害の最小化」と「再発防止の仕組み化」です。


2. 標準フロー(NIST CSF / SANSを参考にしたSOC実務)

ステップ1:検知・通報

  • 検知経路:SOCアラート、EDR、ユーザー通報、Threat Intel 情報
  • SOCの役割:アラートのトリアージ、インシデント判定(誤検知との切り分け)

ステップ2:初動対応(Containment)

  • 即時にやること
    • 感染端末のネットワーク隔離(EDRのIsolation機能など)
    • アカウントロック、パスワードリセット
    • 不審メールの全社隔離
  • ポイント:被害拡大を防ぐことが最優先

ステップ3:調査・分析

  • 確認する情報
    • 侵入経路(フィッシング/脆弱性/不正認証)
    • 攻撃の痕跡(IOC:IP, ハッシュ, ドメイン)
    • 攻撃手法(MITRE ATT&CKで整理)
  • 活用ログ
    • SIEM(認証ログ、ネットワーク通信)
    • EDR(プロセス実行履歴、ファイル操作)
    • メールゲートウェイ(送信元、添付ファイル)

ステップ4:根本原因分析(Root Cause Analysis)

  • 攻撃が「ゼロデイ脆弱性利用」か「設定不備」か「認証情報漏洩」かを特定
  • 影響範囲(どのユーザー、どのシステムが影響を受けたか)を明確化

ステップ5:復旧(Eradication & Recovery)

  • 不正なアカウントやマルウェアの完全除去
  • バックアップからの復旧
  • システムの再構築(必要に応じて)
  • 業務継続のための暫定措置

ステップ6:報告・コミュニケーション

  • 内部:IT部門、経営層、CSIRT、法務部門
  • 外部:顧客・取引先、規制当局、警察や監督機関(必要に応じて)

ステップ7:事後対応・改善

  • 報告書作成(事象の概要、対応内容、影響範囲、再発防止策)
  • 検知ルールやプレイブックの改善
  • 社員教育や意識向上施策の実施

3. 報告書作成のポイント

報告書は「技術者向け詳細」と「経営層向けサマリー」を分けるのが基本です。

技術者向け詳細報告

  • 発生日・検知経路・タイムライン
  • IOC(IP, ドメイン, ハッシュ値)
  • 攻撃手法(MITRE ATT&CKマッピング)
  • 調査ログ・証拠スクリーンショット

経営層向けサマリー

  • 何が起きたか(簡潔に)
  • 被害の範囲(情報漏えい件数、業務影響)
  • 対応済み内容と現在の状況
  • 今後の対策(再発防止策、改善計画)

4. 具体例:不審メールから始まったケース

  1. ユーザーがフィッシングメールを開封 → SOCが検知
  2. 初動:対象メール隔離、ユーザーPCをEDR隔離
  3. 調査:PCから外部IPへの通信を確認、IOCを収集
  4. 根本原因:フィッシングによる認証情報窃取
  5. 復旧:アカウントリセット、被害範囲のユーザーに注意喚起
  6. 報告:経営層に「一部アカウントが不正アクセスされたが、情報漏えいはなし」と報告
  7. 改善:フィッシング訓練、MFA必須化、検知ルール追加

5. まとめ

  • 初動対応はスピードと封じ込め重視
  • 調査・分析ではログとIOCを整理し、MITRE ATT&CKに基づいて理解
  • 報告書は技術的詳細と経営層向けサマリーの二段構成が基本
  • 最後に再発防止策をセットで提示することが重要
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